鹿児島県さつま町

＊参考資料　『日本城郭大系』　『鹿児島県の中世城館跡』

＊参考サイト　　城郭放浪記

中城（さつま町時吉）

　　　中城の場所。

　中城は時吉の集落の南側にそびえている比高15ｍほどの独立台地に築かれている。

　木が切られており、城塁がきれいに見えている台地なので、遠目にもすぐにそれと分かる。

　城内は公園となっており、内部まで車道が付けられているのだが、入口が封鎖されていて車では進入できなくなっていた。

　入口の脇の小さな公園の所にスペースがあったので、車はそこに停めさせていただいた。後は歩いて登って行く。

　西側の城塁には2段の腰曲輪が造成されているのが分かる。

　台地に上がってみると、内部は長軸70ｍほどの長方形の単郭となっている。

　北側には多賀神社が祀られていた。

　その西方には方形の土壇が見られる。

　北西側の角にはわずかに土塁が残り、そこに虎口が見られた。これが本来の登城道であったのかもしれない。




　中城の城主等、歴史については未詳である。












城塁。 腰曲輪。
内部。 土壇。
虎口。 腰曲輪。




轟原城（さつま町轟町）

＊鳥瞰図の作成に際しては『日本城郭大系』の図を参考にした。

　　　　轟原城の場所。

　轟原城は、川内川に臨む河岸段丘上に築かれている。この川沿いには長岡城、椿城も築かれており、南北に並列している。３城は連携した城郭だったと考えられる。

　その中でも最も規模が大きいのが轟原城で、３城の中でも中心的な城郭だったと見てよいだろう。

　ただし、内部は薩摩郡医師会病院の敷地となっており、遺構はほぼ消滅してしまっているようだ。

　とはいえ周囲を廻る切岸状の地形などはかつての城の雰囲気を残していると言っていい。

　入口にはＡの高台が残されており、ここに遺構がありそうな雰囲気があるのだが、周囲がみなコンクリート加工となっており、取り付けそうな場所がなかった。

　また、病院の北側には土塁が長く配置されている。これが本来の遺構なのか、病院の建設の際に生じたものなのかは不明だが、土塁のすぐ外側が切岸となっているので、遺構である可能性が高いように感じられる。




　轟原城は、大前（おおくま）氏の居城だったと言われているが、詳細については不明である。





城塁。 病院。脇に土塁がある。
遺構が残されていそうな高台。 土塁。




長岡城（さつま町柏原）

＊鳥瞰図の作成に際しては『日本城郭大系』の図を参考にした。

　　　長岡城の場所。　　　　　入口の城址碑の場所。

　長岡城は轟原城のすぐ北側に位置しておる、谷戸部を挟んで轟原城と向かい合うような位置にある。

　北西側から川内川に向かって細長く突き出した半島状の地形を利用したものである。

　国道沿いにSAKURA２というパチンコ屋さんがあるが、その奥に入って行くのが分かりやすい。

　奥の方まで車で進んで行くことが可能で、途中に車を停められそうなスペースもある。

　奥の川べり付近まで進んで行ったところで、土壇のようなものが見えてくる。

　そこが城への入口らしく、登ったところに城址碑が建てられていた。

　そこから城内に入れそうなのだが、その先は歩きにくい竹ヤブとなっている。




　長岡城も大前氏に関連した城郭だったと考えられているが、詳しいことは分かっていない。














遠望。 土壇。
その上の城址碑。 郭。




椿城（さつま町柏原）

＊鳥瞰図の作成に際しては『日本城郭大系』の図を参考にした。

　　　椿城の場所。

　椿城は、長岡城の300ｍほど北側にある。

　東側の民家に入る道の途中に椿城の主郭と思われる台地に上がる道が付けられている。上がったところが1郭である。

　国道沿いに車を停められそうなスペースがあったので、そこに車を停めさせていただいて１郭に向かっていく。

　１郭の西側には堀の跡が見られる。

　１郭から北東側にかけて小規模な郭がいくつも配列されているようなのだが、こちらはヤブ状態となっており、雨の中、入って行くことはできなかった。

　また、南側の長岡城との間の川べり部分にも、郭のような一段高くなった区画が２つほど存在しているようである。




　椿城も大前氏に関連した城郭だったと考えられているが、詳しいことは分かっていない。





















入口。 郭。
郭。 切岸。




虎居城（宮之城・さつま町宮之城）

＊鳥瞰図の作成に際しては『鹿児島県の中世城館跡』の図を参考にした。

　　　虎居城の場所。

　虎居城は、川内川が蛇行している部分に築かれている。

　台地の基部部分が高台となっており、そこに宮之城中学校が建てられている。

　この中学校の名称からも分かる通り、中学校のある部分が代表的な郭だったのではないかと考えられる。

　中学校の土手の部分に城址標柱が立てられているらしいので探してみたのだが見つからなかった、すでに腐食して失われてしまったようである。

　そこから川が蛇行している西側の半島状の地形にかけて多数の郭が造成されていたようである。

　ただし、現在は推込分水路の工事によって途中の部分が削り取られているために、先端の城域が分断されてしまっている。

　その先にまで行けるかどうか入ってみようと思ったのだが、道路の入口部分に立入禁止の看板が立てられており、進んで行くことができなかった。

　分水路に関する工事が現在も続けられているのであろうか。この状況では先端部分に到達するのはかなり困難な様子である。

　というわけで、先端の遺構が残っていそうな部分まで到達できていない。鳥瞰図は上記の書の図面に頼って描いてみたものである。




　虎居城も大前氏の居城であった。

　室町時代以降も祁答院氏ら大前一族の拠点となっていたが、元亀元年（1570）の正月、祁答院良重は島津氏によって暗殺され、ついに祁答院氏は滅亡してしまう。その後は宮之城島津氏の拠点となった。

　天正14年（1586）、秀吉の九州攻めの際、虎居城の城主は島津貴久の3男の歳久であった。

　歳久は若い頃から兄の義久、義弘を助けて活躍した武将である。

　歳久は最初、「一介の農民から身を起こした秀吉はただものではない」とただ一人、和睦を主張していたが、彼の意見は受け入れられず、上方勢との合戦が始まって行く。

　上方勢に抗しきれなくなり和睦の話が出た際には、逆に歳久は最後まで徹底抗戦を主張した。秀吉が帰洛する際には秀吉の籠を隘路に誘導させて家臣に矢を6本射かけさせた。だが危険を予想していた秀吉は籠をからにしていたので、危機を脱することができた。

　その後も反抗的な態度を取り続けていたため、秀吉の命によって歳久は切腹を命じられることとなったのであった。

宮之城中学校。 城塁。
主要部へは立入禁止。




山崎城（さつま町山崎）

＊鳥瞰図の作成に際しては飯島冨士夫の図を参考にした。

　　　　　山崎城の場所。

　山崎城は、川内川に架かる山崎大橋の北側にそびえる比高30ｍほどの独立山稜に築かれている。

　比高30ｍほどであるから、すぐに登れそうなのであるが、雨が激しくなってきており、傘を差して登れる道があるかどうかを探してみる。

　しかし、そのような道を見つけることはできず、今回は登城を断念した。

　鳥瞰図は飯島冨士夫の図の図に頼って描いてみたものである。

　山頂部に堀切で区画した２つの郭を配置し、そこから北側にかけていくつかの郭を配置するという構造である。




　山崎城の城主は山崎氏であった。山崎氏は祁答院氏の一族である。

　祁答院氏が没落したのちは、入来院氏の所領となった。

　天正15年(1587)、秀吉の九州征伐の際、薩摩川内市の泰平寺において秀吉と島津義久との和睦が成立した。

　その帰路、秀吉は山崎城に5月20日、21日の２日間滞在したと伝えられる。











遠望。 入口。




山﨑麓（さつま町山崎）

　　　山﨑麓の場所。

　山﨑麓は、さつま町立山崎小学校のすぐ北側に隣接しているので、この小学校を目標にしていくとよいだろう。

　道路を挟んで北側に御仮屋門と石垣が見えてくる。これが山﨑麓の跡である。

　その内部が地頭仮屋などの施設があった所かと思われるが、すぐ背後まで斜面が迫ってきているので、それほど広い敷地ではない。




















地頭仮屋の門。 内部。