福岡県うきは市
＊参考資料 『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会） 『福岡県の城郭』（福岡県の城郭刊行会） 『日本城郭大系』
＊参考サイト 城郭放浪記
隈ノ上城（うきは市浮羽町西隈上）
＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。
隈ノ上城のあった場所辺り
正八幡宮の東側の一体が隈ノ上城の跡であると言われている。
現在は宅地化が進んでいるために遺構は消滅状態にあるようである。
古図を見てみると、北側から西側に土塁を配置した単郭の城館で、周囲には堀が巡らされていたようである。
堀の跡は現在は道となっており、それらしい雰囲気はない。わずかに北東部辺りにそれらしい段差が見られるが、そのくらいのものである。
『筑後将士軍談』によると、日田三郎永隆が、平家追悼の功績によって建久元年（1190）に隈上庄を賜って、同7年に築いたという。
その後、室町時代になると、星野高実が隈ノ上城に進出してきて、大友方の攻撃を防いだとされる。
 |
 |
| 堀跡 | 堀跡 |
 |
|
| 堀跡 | |
＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。
長瀬城の場所（城丸土神社）
長瀬城は筑後川の南側の河岸段丘上に築かれていた。
現在、城土丸神社の祭られているあたりが城址ということなのであるが、明確な城郭遺構は見られない。
東側にある切通の道路が、堀切の跡のように見えるくらいである。
神社のある方形の区画は一段高い地形になっているのだが、これとても実際の城のラインと関係があるのかどうかは不明である。
現在ではどのような城なのか分からなくなってしまっている。
『筑後将士軍談』によると、天正年間に大友家臣の野村主殿が居城としていたという。
また、日田の領主の日田安芸親永は、日田を逃れ出でて、しばらくこの城にいたことがあったとされる。
 |
 |
| 城土丸神社の鳥居 | 城土丸神社 |
 |
 |
| 堀切跡 | 土手 |
 |
|
| 城跡 | |
＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。
長岩城入口の場所
長岩城といえば、大分県中津市の岩場の鋭い城郭を思い出すが、こちらの長岩城も天然の岩場を利用した独特の城郭である。
城の東側の道を通っていくと、長岩城の案内板と城址碑とが設置されているのが見えてくるため、どこが城の入口なのかはすぐに分かる。
近くには路肩が広くなっている個所があるので、車はそこに停めておくことが可能である。
石段が付けられており、それに従って登っていく。
この上には長岩説教所と呼ばれる施設が建てられており、そのために石段が付けられているのである。
説教所があるところが居館の跡と推定されている場所である。
何のための説教をする場所なのかは分からないのだが、現在ではほとんど使用されることもないようで、段々荒れてしまいそうな雰囲気である。
そこから背後に登っていくと、正面と左手奥に石垣が積まれているのが見えている。
郭の縁部を石垣で固めているのである。このような場所の城に石垣があるとは意外であった。
そこまで登っていくとさらに上に続く階段があり、段々の郭が何段も形成されている。
特徴的なのは、郭の両側面部分が高い岩で囲まれているということである。
長岩城の構造を一言で言ってしまえば、谷戸式城館ということになるのだが、側面部が岩でガードされているという構造がこの城の特殊性を物語っている。
物見岩などもあり、上がっていけるようになっている。
しかし多くの岩はただただそびえており、圧迫感を感じる状況である。こんな所に住んでみたいという気になれない。
この谷戸部の間に段郭を多数つくり、その一番上が主郭となっている。主郭の上にも岩がそびえている。
このように岩に囲まれた谷戸式城館というのは他では見たことがない。
とはいっても、口では説明しがたく、鳥瞰図でもうまく再現できていない。実際に訪れてみないとこの城の異様な形状は把握することができないかもしれない。
ここに城を築こうとした人は特異な発想を持っていたのであろう。
『筑後将士軍談』によると、長谷部氏が築き、のちには問註所統景が居城とし、天正年間には大友氏の支配下となっていたという。
大友氏が秋月氏などの筑前勢力に対して境目の城として重視していた城館だったのであろう。
 |
 |
| 登城道入口 | 説教所の石段 |
 |
 |
| 岩 | 7郭の石垣 |
 |
 |
| 案内表示 | 登城道 |
 |
 |
| 郭 | 郭 |
 |
 |
| 郭 | 郭 |
 |
 |
| 岩の間 | 登城道 |
 |
 |
| 郭 | 郭 |
 |
 |
| 虎口 | 郭 |
 |
 |
| 郭 | 郭 |
 |
 |
| 虎口 | 登城道 |
＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。
長岩切寄の場所
長岩城の入口から東側を遠望すると、側面部に巨大な立岩のある山稜が見えている。これが長岩切寄である。
切寄というと、一種の陣城のようなものだと思っていたのだが、この切寄は長岩城の支城であったという。
道はなく北側から斜面をよじ登っていくしかないらしい。
ということで北側山麓に回り込んでみたのだが、どこもヤブがひどそうである。これではとても登ってみる気にはなれない。
鳥瞰図は上記の書の図面に基づいて描いてみたものである。
長岩城とは異なって、こちらは普通の山城である。
山稜上を削平して数段の郭を造成している。ただ、背後には堀切を掘っていない。
この山に背後から登ってくる人など想定するまでもなかったのであろう。
その下に両脇に土塁を配した郭、土塁によって虎口を形成した郭などが設置されている。
長岩切寄の城主は不明だが、長岩城の問註所氏の一族か家臣が番をしていたのであろう。
 |
 |
| 長岩城の前から | 登り口 |
 |
|
| 登り口 | |
＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。
高井岳城までの林道入口の場所。
高井岳城は、大分県日田市との境界にそびえている比高200ｍほどの高井岳に築かれている。
普通に登っていけば大変そうな山なのであるが、山上に無線中継施設があるということで、山上まで舗装林道が付けられている。
ありがたいことである。これを使えば車で城内まで行けそうだ。
ただ、山城を林道で進む際にはいつも緊張する。登ったはいいが狭くて急斜面で危険な道になってしまうことが時々あるのである。
そんな時は車で進んできたことを後悔してしまう。この城の林道は大丈夫だろうか？
答えは大丈夫であった。落ち葉こそはあちこちに堆積してはいたものの、それほど幅が狭くもなく、急斜面でもなかった。
それほど不安になることもなく運転して登っていくことができた。他の山城もこのくらいの林道で登っていきたいものだ。
やがて山頂の駐車場に到達した。10台ほど停められる駐車場であるが、駐車場に入る部分が大きな切通になっていた。
おそらく本来の遺構を破壊して切通や駐車場が付けられているのであろう。
また主郭や2郭と思われる部分にも無線中継のための建物が建てられているので改変はかなり進んでいるように見える。
それでも周囲を見てみると、竪堀などの遺構はあちこちに見ることができた。残されている遺構も結構多いのである。
豊後と筑前の国境の山に造られた城であり、境目の城としてかなり重視されていたものと思われる。
『筑後将士軍談』によると、大友家の番城だったという。
天正14年（1586）、秋月氏の兵によって攻められ、落城してしまった。
 |
 |
| 山頂の駐車場 | 無線中継施設 |
 |
 |
| 無線中継施設 | 畝状竪堀 |
 |
 |
| 畝状竪堀 | 畝状竪堀 |
 |
 |
| 車道によって切り離された郭 | 郭 |
 |
 |
| 畝状竪堀 | 畝状竪堀 |
 |
 |
| 畝状竪堀 | 畝状竪堀 |
 |
 |
| 畝状竪堀 | 畝状竪堀 |
 |
 |
| 畝状竪堀 | 畝状竪堀 |
 |
 |
| 畝状竪堀 | 畝状竪堀 |
 |
 |
| 畝状竪堀 | 駐車場 |
