福岡県筑紫野市

＊参考資料　　　『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）　『福岡県の城郭』（福岡県の城郭刊行会）　『日本城郭大系』

＊参考サイト　　城郭放浪記

山家（やまえ）郡屋（筑紫野市山家）

＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。


　　　　山家郡屋駐車場の場所


　山家郡屋は地図にも掲載されているので場所を探すのは難しくないであろう。

　郡屋跡の南西側には公民館があり、そこの駐車場に車を停めておくことが可能である、

　車を停めた後、案内の矢印に従って、郡屋の方に進んでいく。

　郡屋の母屋には現在も住んでいる方がいらっしゃるようで、迷惑をかけないようにとの注意書きがあった。

　自分が住んでいるのに周辺を公開してくださっているのはとてもありがたいことである。頭が下がる。迷惑をかけないように見学を心掛けたいものである。

　郡屋の敷地内にはかつての蔵や小屋等が幾棟か残されていた。

　失われてしまったものも多いようだが、現地案内板にかつての建物配置図が掲載されていたので、それに従って復元図を作成してみた。






　郡屋とは宿場のための倉庫施設であり、福岡藩によって設置されたものである。

　山家宿の初代代官は黒田２４騎の一人の、桐山丹波守信行であった。

　桐山氏は福岡入部の際には4千石を領していた。

　後には加増されて6千石の所領を得た。

入口の案内	入口
案内板	入口
配置図	案内板
穀蔵	蔵
蔵	母屋
石垣	石垣

柴田城（筑紫野市天山）

＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。


　　　　　柴田城入口の場所


　柴田城は天山地区の北側の比高20ｍほどの低い独立台地に築かれている。

　城に来る途中の道には「←柴田城跡」といった案内が出ているので迷うことはないだろう。

　城の入口は東側にあり、そこから登っていく。駐車場はなかったので、車は路肩の余白に寄せて停めさせていただいた。

　登っていくとすぐに1郭に出た。1郭には墓地が造成されており、中央部に大きな塚が盛られていた。
　
　後は地形なりに何段もの平場を造成している。平場加工はきちんとなされているが、もともと高い台地ではないので切岸の高さはそれほど高くない。

　山城というよりは居館に近いものである。





　柴田城は筑紫氏の支城で、村山近江、その子の弾正が在城していたと伝えられている。

途中の道路の案内表示	入口
入口	登城道
1郭の塚	1郭
郭	郭
郭	郭
城塁	腰曲輪
塚	土塁
横堀	郭

堂山城（筑紫野市武蔵）

＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。

　　　堂山城入口の場所（天満宮の上）

　菅原道真が登り、天を仰いで絶望したと言われる天拝山。その天拝山の入口近くの比高40ｍほどの地点に築かれているのが堂山城である。

　天拝山の山頂に天判山城があり、そこから派生する2つの尾根の先端に堂山城と飯盛城とが築かれている。

　今回は、堂山城から天判山城へと登り、降って行く際に飯盛城を経由して戻っていくことで、一筆書きで3つの城を廻ってみることにしてみた。、

　付近は天拝山歴史自然公園となっていてハイカーが多く訪れる。そのため登山者用の駐車場も整備されているので、車はそこに置かせてもらった。

　ところが平日の午前中だというのに駐車場はほとんど埋まってしまっていた。休日などではここに車を停めるのは難しいのではないだろうか。実際、天拝山周辺では多くのハイカーとすれ違うことになった。人気のハイキングコースのようである。

　車を停めたら、登山道を目指す。ただ通常の登山道を通ってしまうと堂山城を経由しないので、武蔵寺の脇にある御自作天満宮の方を目指していくのである。堂山城はこの天満宮の上の山稜に築かれている。

　天満宮の脇から、その上にある稲荷神社の参道が付けられている。

　稲荷神社は堂山城の1郭下の帯曲輪の端部分に建てられているので、稲荷神社の赤い鳥居をくぐりながら参道を登って行けばよい。
　
　後は城塁側面部の道を登って行けば、1郭である。

　ところが、この1郭、周囲に鉄条網が巡らされており、立入ができなくなっていた。

　神社の聖域となっているのであろうか。立入ができないとはいえ、内部の様子はよく見えるので、、特に問題はない。

　奥の方に五輪の石塔が1基建てられているのが見えた。これが何か神聖なものなのかもしれない。

　1郭には入れないが周囲の横堀や帯曲輪は自由に歩くことができる。

　1郭の下には横堀や帯曲輪が造成されており、一部には竪堀も掘られていた。

　南側が尾根続きとなっていて、そこに堀切を入れ、さらに数段のテラス状の小郭を形成している。

　それらの先にもう1本の堀切があり、城域はここで終わるようである。

　堂山城は単郭のコンパクトな城である。堂山城の入口を監視するための番所のようなものだったのであろう。

　堀切の先は天拝山への登山道とつながっている。
　
　次にこの登山道をどんどん登って行けば、天拝山の山頂にある天判山城に到達することとなる。

　堂山城から天判山城までの比高は150ｍほどである。

天満宮	登山道の切通し
稲荷神社	登城道
1郭内部	帯曲輪
横堀	横堀
横堀	横堀
石列	帯曲輪
堀切	堀切
堀切	切通し
堂山城の城主等、歴史については未詳であるが、天判山城の入口を監視するための施設だったと考えられる。 　天判山城や飯盛城が筑紫氏家臣の帆足氏であったことを考えると、堂山城にも帆足氏の一族か家臣が在城していたと考えられる。

天判山城（筑紫野市武蔵）

＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。

　　　天判山城の場所（天拝山山頂）

　天判山城は堂山城の上、比高150ｍほどの所にある。

　今回、私は天満宮から堂山城を経由して、天拝山まで登って行くことにした。

　堂山城から切通しの登山道を登って行くと、最初のうちはけっこう緩やかな登りである。

　登山道の脇には「天拝山3合目」などと書かれた石碑が建てられているので、山頂まであとどのくらいなのか目安になって分かりやすい。

　7合目辺りから登山道が急峻になってきて、9合目で東側の尾根に到達する。後は、山稜を比高20ｍほど登って行けば天拝山山頂である。

　それにしても天拝山に築かれているのに、なぜ天判山城なのだろうか。天判というのは天拝がなまったものだと思われるので、どちらでもよいのかもしれない。

　天拝山は人気のハイキングコースのようで、平日だというのにけっこうたくさんの登山者が訪れていた。みなさん、山頂の展望台付近で休憩したり、お昼を食べたりしている。

　私は彼らとは違い、道のない側面部の方に降りて行ったりする。一般の登山者からは怪訝な目を向けられたりするが、いつものことなので気にしない。

　山頂部は2段の平場が形成されている。

　1郭の西側には、小規模なテラス状の郭があるが、これは堀切の名残であるかもしれない。

　1郭の南側の下にも堀切が見られる。だいぶ埋まってしまっているが本来は二重の堀切であった可能性がある。

　そして、最も傾斜が緩やかな東側の尾根が最大の防御ポイントだったようで、こちらには現在もしっかり確認できる堀切が2本形成されていた。

　天険の要害というべき城で、遺構は簡素なものだが、眺望はとてもよく、山麓の城下を一望することができる場所となっている。



　天判山城の城主は筑紫広門の家臣帆足備後であったという。

切通しの登山道	途中に何合目かを示す案内がある。
9合目まで来た	テラス状小郭
1郭入口	1郭からの眺望
南側の堀切	堀切
堀切	堀切と城塁
荒穂神社	展望台
2郭	切通し
東側の堀切	堀切

飯盛城・武者隠し（筑紫野市武蔵）

＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。

　　　　　飯盛城の場所　　　　　　飯盛城の登城道入口

　飯盛城は、天判山城から東側の尾根を降った所にある。ただ、飯盛城へ降りていく道がどの辺りから付けられているのかが分からない。

　天拝山山頂付近で、落ち葉掃除をしている方に飯盛城のことを伺ってみたところ、最初は何のことかよく分からない様子であったが、「城跡」ということで思い当たったことがあるようで、

　「この下の広場まで降りて行った所に城のことが書いてあったかもしれない」と教えていただいた。

　そこでそのまま尾根を30ｍほど下って行った。

　確かにその辺りに小広場のようなものがあった。そしてその看板に飯盛城のことが書いてあった。

　そこから右側に尾根沿いに降って行くような道が見えている。これが飯盛城に接続する道なのではないだろうか。ということでその山道を進んで行く。
　
　天拝山に登る人は多いが、飯盛城に行く人はほとんどいないようで、こちらの道ではハイカーとは一人として遭遇することはなかった。

　あまり人がいないのでちょっと不安になってしまったのだが、途中に「←飯盛城」といった案内表示が出ていたので、ルートが合っていることが確認できて安心した。

　そうして降って行った所、浅い堀切状の部分が見られた。そろそろ城域かと思ったのだが、尾根はそこからまだ続き、鞍部に到達する。

　鞍部と言っても斜面は急になっており、巨大な堀切のような場所である。その正面に城塁がそびえて見えている。鳥瞰図の一番上辺りである。

　どうやらあの城塁の上が飯盛城であるらしい。いかにも城郭的な光景となっている。

　鞍部に降りると、そこに案内板があったが、倒れていた。

　鞍部の中央部には低い土塁があり、かつては二重堀切を形成していたものと見られる。土塁はその名残なのであろう。

　そこから道が付けられており城内へと登って行く。

　城塁が見事だったので城塁の上にも広大なスペースがあるのかと思ったのだが、意外と広くない郭があるだけであった。北側が高くなっており、傾斜した地形になっている。

　飯盛城はこのような単郭の城であった。山稜先端部に、こうしてピークになっている地形があったので、それを加工して城郭に取り込んだのであろう。周囲は鋭い切岸になっているので守りは固い。

　ここから山麓の武者隠しの方に降りて行こうと思ったのだが、先端から降りる道はなかった。登城道は、今登ってきた道を降りて鞍部の所から降って行くようになっているらしい。

　そこで再び鞍部に戻る。鞍部から城の先端下に続く道があったので、それを進んで行くと、天然岩を利用した城址碑があった。さらにその先には堀切が掘られている。

　鞍部の所から登城道を降って行った。

　すると傾斜が緩やかな地形となっており、そこに「武者隠し」の案内が倒れていた。この緩やかな斜面が武者隠しなのであろうか・・・。

　しかし実際の武者隠しはその下の段であった。そこから降って行くと、切通しの通路を通って、下の削平された平場へと接続している。ここが武者隠しであるようだ。

　武者隠しの背後の山稜との斜面には横堀が掘られている。また、先端の入口は切通し状の虎口となっていた。

　なるほど、確かに、そこそこの面積のある平場なので武者を配置することはできるであろう。しかし、この場所を武者隠しとするのはいかがなものであろうか。

　ここは山麓居館のあった場所と捉えるのが自然なように思われる。

　この場所は山麓からの比高20ｍほどの高さになっている。

　ここから下まで降りて行った所に「飯盛城→」という案内板が立てられていた。飯盛城に単独で来るならば、ここから登って行くのが早いのである。ただし、車でここまで来てしまうと駐車場がない。

　さて、飯盛城から降ってきたので、後はそのまま下道を通って天拝山公園の駐車場まで歩いて戻って行くことにした。

　その途中の分岐点で、飯盛城の入口を示す古い石碑が建てられていた。堂山城と天判山城には城に関する案内は１つもなかったが、飯盛城だけは城としてしっかり認識されているようであった。




　飯盛城の城主は筑紫広門の家臣帆足備後であったという。

天拝山下の広場。ここから右手に進んで行く。	手前にあった浅い堀切
鞍部	飯盛城の城塁
二重堀切の跡	城塁
1郭	1郭
城塁	1郭
鞍部の案内板	城址碑
堀切	鞍部から登城道を降って行く。
ここから山麓近くの武者隠し（居館跡）に向かって降りて行く。

武者隠しの案内	虎口
案内	武者隠し内部
虎口	横堀
虎口	飯盛城の登城口
飯盛城への案内の碑	遠望