＊鳥観図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』の図を参考にした。 不動城の場所。 案内板の場所。
不動城は平野台の住宅地のはずれにある比高40mほどの独立山稜に築かれていた。
現在は南側が公園となっており、城そのものもかなり削られてしまっているように見える。
城の案内板は東側下の県道牛頸平野線沿いに立てられている。
このすぐ上が平野台さくら公園である。
というわけで城址の場所はすぐに分かるのだが、近くに車を停められそうなところがない。車はどこか離れたところの道路の余白を探すよりほかにない。
さくら公園を登っていくと、「衣振山跡地」と刻まれた石碑がある。「跡地」というからには衣振山そのものが削られてしまっているということであろう。
その石碑の上にさらに公園がある。
そして正面に南側の城塁が見えてくる。
ところが城塁の周囲はコンクリート加工されており、まったく取り付けそうではない。
取りつけたとしても、その上はものすごいヤブになっているようで、これを突破するのは困難である。
どうしたものかと思いながら右手に回り込んで行ったのだが、そうすると、そこに階段が見えてきた。
この階段を上っていったところ、先端上の1郭まで出ることができた。
何のために付けられた階段なのかは不明なのだが、これを通っていけば簡単に城内に到達することができる。
城は山稜上の地形の沿って数段の郭を造成したものであるが、それほど明瞭なものではなかった。
かなり簡素な山城というべきものである。
『筑前国続風土記』によると、「秋月氏の旗下奈良原刑部少輔という者がこの城を築いて在城していた。その後裔の奈良原兵庫亮という者は、秀吉公の九州征伐の時に、秋月種実の先手として討死した」という。秋月種実は秀吉勢と交戦して敗れているので、その際の合戦で討ち死にしたということなのであろう。
また、『城数之覚』（筑紫家文書）には「牛頸ノ城」 として掲載されており、筑紫氏の城であり、家臣の幡崎兵庫・筑紫越前守が在番したとしている。
このように両説がある。
筑紫氏は秀吉の九州攻めの際には秀吉勢に加担して、戦後、筑後国上妻郡（福岡県八女市）で１万８千石の所領を得ている。
といったことからすると、もともとは秋月氏の城であったが、秀吉の九州征伐後に、筑紫氏の飛び地となり、筑紫氏に所属するようになった、といったことが考えられそうであるが、実際に筑紫氏がこの地を飛び地として与えられていたのかどうかは確認していない。
