＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。岩門城登城口の場所
岩門城は上梶原の集落の南側にそびえる比高150ｍほどの山稜に築かれている。
現在、城山の東側の側面部に幅広の道路が取り付けられており、城から比高50mほどのところまで車でアクセスすることが可能となっている。
上記のところまで行くと岩門城の登城口が見えてくる。幟や石像、案内板などが立てられており、登城口はすぐわかるので、車はその辺りの路肩の余白に停めて登城口に進んで行く。
登城口入口の所にも1台なら停められるスペースがある。
入口には大きな案内板があり、その側面部に少弐景資の石像が建てられていた。その脇に階段が付けられている。
岩門城は地元の方によって整備されているようで、遊歩道がきちんと付けられているのである。
階段を登った後、切通しの部分を降って、北側の城のある山稜方向に進んで行く。
その先は土橋状の尾根が続いて行く。その先がピーク部となっている。
この辺りから城域に取り込んで行きたいところであるが、ここは自然地形であった。ただし上記の書の図面を見ると、ここから派生する2つの尾根には堀切が掘られているようで、城域内であったのかもしれない。
その先の尾根を進んで行った所、正面に鋭い城塁が見えてきた。その手前の鞍部には堀切が2本掘られているようだが、手前の方のものはかなり埋まってしまっている。
正面の城塁を登ったところが４郭。虎口には特に工夫は見られなかった。
4郭はそのまま北側に長く延びていき、その上のピーク部が3郭となっている。3郭の北側には土塁が盛られている。
4郭の側面部から西側の尾根にはいくつもの郭が造成されているのだが、こちらは整備されておらず、ヤブ状態である。
3郭から鞍部に降って行った先に城塁が見えている。これが1郭である。
1郭が城内の最高所に当たっている。そこから北側には段々の郭が造成されている。
その先の２郭が城の北端となる。
木が切られているので眺望の良い場所となっていた。
岩門城はそれなりに規模の大きな山城であるが、それほど技巧的な面は見られない。
比較的古いタイプの山城だったということなのだろう。
古くから要害として活用されてきた城で、今川了俊や少弐氏にかかわることを示す文書が残されているという。
鎌倉時代の文永・弘安の役後の弘安7年（1284）に、3度目の元の襲来に備えて、鎌倉幕府は九州各地の軍事拠点の整備をさせているのだが、その際に岩門と太宰府に城郭を構えるように通達している。この時岩門城も整備されていると考えられる。
この時に城番となったのが『蒙古襲来絵詞』にも描かれている少弐景資で、入口の石像となっている人物である。
弘安8年の霜月騒動に関連して起こった岩門合戦では、兄の経資と戦って、景資は討ち死にしている。
南北朝時代の永和4年（1378）には九州探題の今川了俊が、岩門城に陣所を設置させ、家臣の熊谷四郎左衛門が在陣警固をしている。
室町時代に入って、明応5年（1497）には、大内義興が、岩門城に在番した遠田兼相・武藤次郎などを賞している
永禄12年（1569）、立花山城を確保した毛利勢は、岩門城まで進出してきて、筑紫方と合戦をしている。
『城数之覚』では筑紫氏の番城とされている。
このように多くの勢力が拠点とした歴史の長い山城であった。
＊鳥瞰図の作成に際しては『福岡県の中世城館跡』（福岡県教育委員会）の図を参考にした。
